真空低温分離とは?
真空度の高い状態をつくり
水の沸点が35℃~40℃のあたりで
原料から水を分離させる技術です
※加工時の条件により、35℃未満、40℃を超える場合があります
真空低温分離を応用すると
・アルコールやアロマオイルなど揮発性の高い物質も比較的低い温度帯で分離させ回収することができます。
・たんぱく質を熱変性させることなく、酵素を失活させることなく回収することができます。
乾燥と分離
古くから食べ物などを腐らせないように、天日干しや熱風乾燥などが世界中で行われていました。
乾燥させる(水分を抜く)ことによって微生物の増殖を抑え腐敗から食べ物を守る、保存性を高めるための行為です。
天日干し、熱風乾燥(エアードライ)、真空凍結乾燥(フリーズドライ)も乾燥させることが目的です。
上記の方法は乾燥物を利用することだけを目的としますが、真空低温分離はそれに加え今まで活用されていなかった液体を有効利用するために、「乾燥」ではなく原料を固体(注1)と液体に分けて回収することを目的とするので「分離」という言葉を使用しています
(注1) 原料中に固体となる物質が存在しない場合、固体は出現しません
真空低温分離の特徴
私たちは研究室レベルではなく、実用的な容量での加工を想定しています。
大きなものだと1,500リットルの装置で水を35℃~40℃で蒸発させる真空度を保つことはなかなか困難なことです。しかし、それを実現したことにより高品質でコスト面でも商用として可能な生成物に仕上げることができます。
また、隙間から入ってくる空気を常にポンプで抜き真空度を保つ方法ではないので、一度閉じてしまうと外部からの空気は一切入ってこず、加工中は空気による酸化はありません。
密閉して加工している間は一切匂いは外には出ないので、近隣の方への匂いの配慮にもなります。
真空低温分離のメリット・
デメリット
メリット
天日干しのように紫外線や外気に汚染されることがなく、天候を気にせず加工スケジュールを組めます。
熱風乾燥のように熱による変性や風味の劣化を起こすことなく、素材の持ち味を残すことができます。
真空凍結乾燥(フリーズドライ)のような冷凍設備は必要なく、エネルギーコストも抑えられます。
デメリット
真空低温分離では効率よく分離するために原料を撹拌しますので形は崩れてしまいます。
形を残すことを最優先にすると、加工時間・一度に加工できる量が非効率になり原料の温度上昇などの悪影響が起こることがありますが、できるだけお客様のご要望にお応えできるように最適な加工条件をご提案いたします。
今まで放出されていた水分や揮発性の高いオイルが回収できます
野山に漂う草花の香りをそのままに
花や果実に含まれる常温で揮発する香気成分は、真空低温分離ではその「植物自身の持っている水(注2)」と共に35℃~40℃で分離回収されます。
水蒸気蒸留という方法で生成された香りが ”天然の香り” とよく言われていますが、水道水や地下水、精製水を高温の水蒸気として直接当てることによって、デリケートな香気成分が熱により変質・分解してしまいます。
大地に咲く花の香り、豊かに実る果実の香りそのままではなくなってしまうのです。
真空低温分離は植物が持っている香りそのままを残せます。
薔薇や柚子などの「植物自身の持っている水」や香気成分を瓶に入れて嗅いでもらうとみなさん「薔薇だ!」「柚子だ!」とびっくりされます。
植物そのものでもなく、濁った搾り汁でもない、瓶に入った透明な液体から植物本来の香りがすることに驚かれるのです。
植物本来の香りを回収することが今までの技術では困難であったため、従来の加熱されて変わってしまった香りを、 ”そういうものだ” と受け入れてしまっていたのです。
しかし、技術や機械は日々進化していきます。SEED有限会社は、今できることを最大限に活用し、より質の良いものをご提供いたします。
(注2) 真空低温分離では、外部からの水や溶媒は一切加えず植物の細胞内や細胞間にある水分と揮発性物質のみを分離させますので、回収した液体は全てその植物の中に存在していたものになります
(洗浄や露などで表面に付着した水分がある場合はその水分も混合する場合があります)
SEED有限会社の真空低温分離の技術は「水」に注目しています
「水」はあらゆる条件がバランスを保った奇跡
あまりにも身近にありすぎてその凄さに気付きませんが、私たちの生活するこの世界で水が液体で存在することは奇跡と呼ぶにふさわしい現象なのです。
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サラサラの粉に水を混ぜると塊になったり、カチカチになった塊に水をかけると溶けてしまったり。凝固剤であり溶解剤、様々な物質に影響を与えることができる「水」。
また、高等植物の葉などは約80%〜90%が水でできています。
生まれたばかりの赤ちゃんだと体重の約75%、4~5歳児で70%、成人男性では約60%が水なのです。
この身近にあり無くてはならない「水」なのですが、まだ解明されていないことが多く残っています。
SEED有限会社は真空低温分離の事業を通じて、「水」を知り、「水」の力を使い、皆様のお役に立つことを目標としています。